
2024年10月、Okloの株価はわずか7ドルでした。それが今では100ドルを超えています。
売上はほぼゼロ、利益も赤字。それでも市場はこの企業に熱狂している──なぜでしょうか?
株価10倍の衝撃
Okloは、米国発の原子力スタートアップ。2024年にSPAC(特別買収目的会社)との合併を経て上場しました。上場当初は注目度も低く、株価は低迷。しかし2025年に入り、株価は急騰。年初来で10倍以上の上昇を記録しています。
この現象は、単なる投機ではありません。市場は「未来」を買っているのです。
Okloとは何者か?
Okloは、次世代の小型原子炉(SMR)を開発する企業です。
彼らの主力製品「Aurora」は、従来の原子力発電とは異なり、コンパクトで安全性が高く、設置も柔軟。
AIやデータセンターの電力需要増加に対応する“分散型電源”として注目されています。創業者はMIT出身。
支援者にはOpenAIのサム・アルトマン氏も名を連ね、技術と資金の両面で強力なバックアップを受けています。
売上ゼロでも評価される理由
Okloはまだ商業運転を開始しておらず、売上はゼロ。
それでも株価が上がる理由は、以下の3つに集約されます。
– 政策支援:米政府は原子力をクリーンエネルギーとして再評価。ADVANCE法や大統領令により、小型炉の開発が加速。
– AI需要との連動:AIの進化により、電力需要が爆発的に増加。安定供給が可能な原子力に注目が集まる。
– 規制進展:米原子力規制委員会(NRC)とのライセンス審査が前進。実証炉の設置計画も具体化。
提携と資金力
Okloは米空軍との協業を発表し、アイダホ国立研究所(INL)でのAurora設置計画も進行中。
建設パートナーには米国最大級の建設会社Kiewit社を選定。
さらに、約6億ドルの資金調達に成功し、現金残高は683Mドル。
財務基盤は極めて安定しています。
業績とリスク
2024年のEPSは-0.74ドル。赤字ではあるものの、損失幅は縮小傾向。
自己資本比率は89%、有利子負債ゼロという健全な財務体質です。
とはいえ、株価の急騰は期待先行。
実証炉の稼働や商業化が遅れれば、短期的な調整リスクもあります。
未来を買うということ
Okloの株価は、
「今の利益」ではなく「未来の可能性」
に対してつけられています。
これは、テスラやスペースXにも通じる“物語性のある投資”。
あなたは、まだ電気を生み出していない原子炉に投資できますか?
それは、未来を信じるということ。
Okloは、そんな問いを私たちに投げかけています。

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