
◆導入
AST SpaceMobile(ASTS)は、2024年の大相場で一時 100ドル超、そこから半値の 50ドル台まで急落。
しかし2025年に入ると再び 70ドル台へ回復し、「第2ラウンドの上昇相場か?」という期待が高まっています。
重要なのは
――ASTS は短期テーマ株ではなく、「宇宙 × スマホ直結通信」という10年スパンの巨大プロジェクトだということ。
そこで本記事では、
2026〜2030年の事業ロードマップ
実用化されたら世界はどう変わるのか
競合(Starlink等)との力関係
成功確率
シナリオ別の長期株価予想レンジ
まで、未来を見据えた総合レポートとしてまとめます。
◆1. ASTSが実現しようとしている世界とは?
ASTS の核となるビジネスモデルは、
✔「普通のスマホが、宇宙の衛星へ直接つながる」
という世界の実現です。
これに成功すると、地球上ほぼすべての場所で通信が可能になります。
◆実現したら何が起きるか(2030年の未来仮説)
① 通信キャリアの“基地局”が大幅に減る
山間部・海上・砂漠など、人口密度が低い地域の基地局は不要に。
通信会社の設備投資が減り、衛星通信サービスへの“外注依存”が加速します。
② 災害時の通信が確保できる
地震・台風で基地局が倒壊しても、衛星直結なら通信が途絶えない。
国家レベルの重要インフラとして採用される可能性も高い。
③ 発展途上国の通信インフラが一気に飛び級
地上網を整備するよりコストが安いため、アフリカ・南アジアなどで爆発的に普及する見込み。
④ 船舶・航空・物流など産業用途が“宇宙通信前提”に
海運・航空・ドローン配送・自動運転など、B2B領域で巨大な収益源が生まれる。
◆2. 競合勢力(実はかなり強力)
ASTS は夢のある企業ですが、競合はさらに巨大なプレイヤーばかりです。
◆主要競合
① SpaceX「Starlink(ダイレクト to スマホ)」
Elon Musk が本気で狙っている分野。
既に衛星数・資金力ともに圧倒的。
数年以内にスマホ直結テストを開始する見込み。
→ 最大のライバル。資金力・実績で上。
② Amazon「Kuiper」
Amazon は宇宙通信を物流・AWS と連動させる構想。
資金力は無尽蔵。
③ Apple・Qualcomm(デバイス側から参入)
iPhone は既に“衛星SOS機能”を搭載。
今後は、キャリア不要の直結通信に踏み込む可能性がある。
④ 通信キャリア連合(Docomo, Vodafone, AT&T 等)
ASTS と提携しているキャリアも多いが、「最終的に自前でやる」選択肢もゼロではない。
◆競争環境の整理
技術力・衛星数 → Starlink優位
スマホ直結モデル → ASTSが先行
資金力 → Big Tech の圧勝
通信キャリアとの関係 → ASTSが強い
ASTS は“ニッチ先行者”であり、巨人が本気になる前にシェアを取り切れるかの勝負です。
◆3. 2026〜2030年のロードマップ(中長期展望)
◆2026年
BlueBird衛星が複数稼働
一部地域で商用サービス開始
通信キャリアとの契約増加
ARPU(利用者単価)が見えてくる
→ 初めて「実際の売上」が立つフェーズ
◆2027〜2028年
衛星群が本格的に増加
発展途上国で契約爆増
B2B(船舶・航空・物流)向けが大きく育つ
年間売上高が数十〜数百億ドル規模へ
→ 事業が“グローバルインフラ”に近づく
◆2030年
世界中でスマホ直結通信が当たり前へ
通信キャリアの一部は衛星通信に依存
ASTSが黒字転換していれば、評価は一変
M&A のターゲット(Amazon / SpaceX / Qualcomm)になる可能性も
◆4. 成功確率の私見
成功確率は高くはないが、成功時のリターンが巨大な「宝くじ銘柄」ではありません。
“技術が成立した場合、普通に巨大ビジネスになる可能性がある”タイプの成長株です。
✔ 成功確率の目安
高確率成功(40%)
商用化→黒字化→衛星拡大。
競合も出るが市場拡大で共存できる。
部分成功(35%)
限定地域でのサービス提供。
大手に買収される可能性あり。
失敗(25%)
技術問題・資金繰り・競合による圧殺。
希薄化 → 株価下落 → 上場維持が危ういケースも。
◆5. 2026〜2030年のシナリオ別“株価レンジ”
◆【強気シナリオ】
200〜500ドル
商用化が成功
B2Bが収益基盤に
大手通信キャリアと世界展開
黒字転換
買収思惑が発生
→ 小型グロースから“宇宙通信の主役”へ
◆【中立シナリオ】
80〜150ドル
商用化は成功
収益化は遅い
競合と市場を分け合う
→ 地味な成長株ポジション
◆【弱気シナリオ】
10〜40ドル
衛星打ち上げの遅延
資金繰り悪化で増資競合にシェアを奪われる
赤字継続
→ 長期低迷あるいは買収される
◆6. 投資家が気をつけるべきポイント(中長期版)
✔ 増資・希薄化は必ず起こる
宇宙は“金がかかる産業”。
増資は避けられないため、「希薄化を織り込んだ上で投資する」というスタンスが必要。
✔ 技術リスクは常に存在
衛星故障打ち上げ失敗
通信品質の問題
→ 一発で株価 −30〜50%もあり得る世界。
✔ 成功しても“爆益”になるのは数年後
高速に伸びるが、黒字化には時間がかかる。
短期トレーダーには不向き。
✔ 成功ストーリーに“賭ける”銘柄
未来に賭けるタイプの投資。
ポジションサイズの管理が最重要。
◆まとめ:ASTSは“宇宙通信インフラの本命候補”
ASTS の株価は乱高下していますが、それは企業が向かう先が「世界の通信インフラを変えるかもしれないプロジェクト」だからです。
2026〜2028年に商用化・売上拡大
2030年にはインフラ企業化
成功すれば200ドル〜500ドルも視野
失敗すれば10〜40ドルまで戻る可能性
つまり、ASTS は、“10年に1度レベルの夢を買う銘柄”と言っても過言ではありません。
投資するかどうかは、あなたが
✔ この未来に賭けたいか?
✔ ボラティリティに耐えられるか?
✔ 長期で持てるか?
で決まります。
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