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AST SpaceMobile(ASTS)は、スマートフォンと直接通信可能な低軌道衛星ネットワークを構築するという壮大なビジョンを掲げる企業です。
宇宙通信というテーマ性から、米国株投資家の間でも注目を集めてきました。
しかし、2025年10月に発表された最大5億ドルの転換社債が市場に衝撃を与え、株価は一時8〜14%の急落を記録しました。
転換社債の中身と市場の反応
今回の社債は2032年満期・2.375%のクーポン付きで、株式に転換可能な条件が付いています。
転換価格には20%のプレミアムが設定されており、ASTSはこの資金を既存債務の買い戻しや、株式希薄化を抑える上限付きコールオプション取引に充てる予定です。
しかし、こうした複雑な金融構造は投資家にとって不透明感を生み、短期的な売り圧力につながりました。
特に、将来的な株式増加の可能性が意識され、株価は大きく揺れ動きました。
バークレイズの強気姿勢──目標株価を引き上げ
興味深いのは、株価が下落する中でバークレイズがASTSの目標株価を104ドルから109ドルへと引き上げた点です。
これは、ASTSの技術的優位性や、グローバル通信インフラへの長期的な期待を反映したものと考えられます。
バークレイズのアナリストは、今回の資金調達が事業拡大のために必要なステップであると評価しており、依然として「買い」推奨を維持しています。
実際、ASTSの株価は前年同期比で152%上昇しており、長期的な成長期待は根強いようです。

投資家への視点──短期の波と長期の可能性
転換社債は企業の成長資金として重要ですが、株主にとっては“希薄化リスク”とのトレードオフです。
ASTSはまだ収益化前のフェーズにあり、資金調達と技術実証のバランスが今後の鍵となります。
米国株に興味を持つ読者にとって、ASTSは「宇宙通信」というテーマ株の魅力とリスクを併せ持つ存在です。
短期的な値動きに惑わされず、長期的なビジョンと財務戦略を冷静に見極めることが、今後の投資判断において重要になるでしょう。
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