今回は、近ごろ話題が増えているT1エナジー(NYSE: TE)について解説します。同社は以前は「FREYR Battery」という名称でしたが、方向転換にあわせて社名を変更しています。
名前を変えただけではなく、事業の軸にも変化が出てきており、成長余地とリスクが同居する段階と言えるでしょう。
事業の方向転換と背景
T1エナジーが名前を変更したのは、ただのブランド変更ではありません。
太陽光関連の事業、蓄電ビジネスなど、アメリカ国内で製造を広げることに軸を移しているのが特徴です。
再生可能エネルギーは政治や国際情勢によって大きく影響を受ける領域ですが、アメリカ国内では「自前の供給網を持つこと」が重視されつつあります。
T1は、この流れをチャンスと捉えている会社です。
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製造拠点の整備が進行中
同社は既に米テキサス州で設備の整備を進めています。
ダラス:モジュール(太陽光パネル)製造ラインが稼働済み
オースティン:太陽光セルの生産工場を建設計画中
→投資額は数億ドル規模さらに、自治体から支援や税制優遇も受けており、計画が現実性を伴ってきている点は大きなポイントです。
他社との協業も拡大
最近では、通信・電子部品で有名なコーニング社との協業も発表されています。
素材からモジュールまで一貫してアメリカ国内で作るための連携で、もし軌道に乗れば競争力の高い供給網になる可能性があります。
財務面はポジティブとネガティブが混在
資金面では、2025年時点で資金調達が進み、プロジェクト投資に回していることが明らかになっています。
一方で、利益の見通しが引き下げられた在庫が積み上がる可能性設備投資負担の増大といった点はリスクとして残ります。
成長過程にある企業が抱えやすい課題ですが、どこまで利益が追いつくかが投資家の注目ポイントになりそうです。
今後考えられる展開
プラスに働くケース
工場の稼働が計画通りに進む
国内需要(AI関連データセンター、電化など)が伸びる
政策支援が継続する
ソーラーと蓄電の組み合わせが市場で評価される
方向性としては、時代背景にも合っています。
マイナスに動くケース
収益性が上がらず、資金繰りが慎重になる
需要以上に生産を増やしてしまう
政策動向が変わり、支援が弱まる
設備や建設が遅れる
こうした事象が重なると、企業成長のスピードは鈍ります。
個人的なまとめ
T1エナジーは、まだ成長途中の企業らしい動きをしている段階です。
設備投資や市場開拓が大きく進む一方で、利益の実現には時間がかかりそうな印象があります。
ただ、アメリカ国内で完結する供給網を作るという方向性は、業界・政策の流れと一致しています。
中長期視点で見るか、短期的なボラティリティを覚悟するか、スタンスが分かれる企業だと言えそうです。
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